1年の休止を経て活動再開したラフシモンズの時代を見通す眼とは

1. ブランドの活動休止を発表後に教壇に上がる

ラフシモンズは2000年の3月に2000年A/Wコレクションを最後に自社を閉鎖させます。閉鎖の理由は経営不振や倒産などのネガティブな理由ではなく、サバディカル休暇という一定期間勤務した従業員に対しておよそ数ヶ月から1年程度の長期休暇を得るためでした。この休暇を利用して、自身の休養期間に充てつつも、会社の内部構造の立て直しなどを行ったとされています。この休養中で、ベルギーのメーカー「CIG」と協力体制を作ることに成功しました。 さらに休止発表後の2000年10月からは、ラフシモンズはオーストラリアにあるファッションの名門校ウィーン応用芸術大学でファッションに関する授業を5年間も教えることになります。

ちなみに、この専攻プログラムは「Professor auf Zeit（今をときめく教授）」として著名なファッションデザイナーを招待するModeklasse（モーデグラッセ）と呼ばれ、1980年から行われています。開始当時には、ファッションブランド「クロエ」のデザイナーだった『カール・ラガーフェルド』が客員教授として3年間着任しました。 それ以降も国際的に著名な活動をしているデザイナーの『ジルサンダー』や『ヴィヴィアンウエストウッド』『ヘルムートラング』などが、教壇に立っています。

2.1年間の休暇を経てラフシモンズを再開

ラフシモンズは1年間のサバディカル休暇を経て、2001年の秋にファッションの世界へ復帰。再開したラフシモンズは新しいパートナーシップによるデザインチームの規模縮小を行うことで、共同作業者とより親密に仕事を行うことが出来ました。 復帰後初のコレクション「Riot Riot Riot」を発表。これは、これまでのラフシモンズのような細身のスタイルを拒絶するかのようにビックスタイルシルエットを表現。ボンバージャケットやフード、ズボンなどの大部分を特大サイズで構成し、モデルは衣服で覆われて顔はスカーフで包んでいます。

なぜこのようなスタイルを考案したのかというと、ウィーンのフリーマーケットでルーマニアやウクライナから来た若者たちを見て、インスピレーションを得たそうです。このアイコンのコレクションはRiot Riot Riot期のほかに、風貌から「暴動期」や「テロリスト期」などと別の名称で呼ばれています。 このコレクションの特徴は発表した場所にもあります。これまではパリの1区で優雅な環境で華々しくランウェイで発表しますが、このショーでは大量の煙や閃光で満たされた冷たく湿った倉庫で行われました。この状況で行われたことをファッション業界へのアンチテーゼとして発信をおこないました。 近年では、アメリカで世界的に有名なラッパーである『カニエ・ウエスト』がこの時のコレクション「カモMA-1」を着用したことで人気に火が付き、最大で500万円まで価格が高騰しました。

3.未来を予見したとされているコレクション

出典：YouTube

パリコレに代表される各ブランドが参加するコレクションは、実際のお店に服が並ぶ半年ないし1年前に開催されるものです。各ブランドのデザイナーたちは、そのタイミングの社会や時勢を鑑みつつ自身のクリエーションに落とし込みます。 さらに言うと、コレクション発表のために3年以上の期間を費やして準備を進めています。よほど先を見通す洞察力を求められますが、ラフシモンズは未来からやってきたのではないかというほど、世界の動きとコレクションが一致した時がありました。それが先述で紹介したRiot Riot Riot期です。

活動休止を発表していたラフシモンズの復帰コレクションとして話題を集めていましたが、その内容がテロ期と呼ばれるのは格好だけではなくその時期にあります。2002SSのコレクションが発表されたのは、2001年9月11日の世界同時多発テロの約3ヶ月後だという点です。この凄惨な事件は未だにセンセーショナルで、最悪なタイミングで重なってしまい現在では不謹慎であると叩かれていたのかもしれません。 さらに2020SSのルックで注目されたのが、白衣や医療従事者が着用する上着を彷彿とさせるアイテムでした。このタイミングで世界中で猛威を奮ったのがコロナウイルス(COVID-19)で、世界中で医療現場が逼迫してしまいました。同時に発表されたLABO COATについては数学者をイメージしてデザインされたので、こじつけと言われてしまえばそれまでですが、ここまで一致したアイテムを発表できることはすごいことだと思います。

4.高い人気を誇るラフシモンズアイテム

ラフシモンズは高い長い間高い人気誇っているブランドです。もし、ラフシモンズの2001SS Riot Riot Riot期のアイテム売却を検討されているのであれば、買取相場が上昇している今のうちに手放すのがおすすめ！

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